はじめに
「封神」「哪吒(ナタ)」で検索すると似た名前の作品が乱立して見えるのは、実際に別会社・別世界観の3系統が同時に存在しているからです。結論から言うと、これらの作品はひとつの公式ユニバースにまとまっているわけではありません。乌尔善監督の実写三部作、彩条屋影業のアニメ2作+続編、追光動画の「新神榜」シリーズという、制作会社も世界観も異なるシリーズが並行して展開しています。本記事では最新情報を精査したうえで、系統ごとの違いを整理しつつ「見る順番ランキングBEST10」としてまとめました。

そもそも「封神ユニバース」はひとつじゃない

ややこしいことに、追光動画は自社のシリーズを「封神宇宙」と呼び、彩条屋影業のナタ/姜子牙も同じ呼び名で語られることがあり、この2つはまったくの別物です。『新神榜:杨戬』は追光動画自身が手がける封神宇宙系列の2作目にあたる作品と位置づけられています。一方、彩条屋系の『姜子牙』についても姜子牙とナタの間に直接のつながりはなく、いわゆる封神宇宙自体がファンの願望に過ぎないという指摘も中国メディアでなされています。つまり原作の『封神演義』を共有しているだけで、キャラクターデザインもストーリーもバラバラの「別バージョン」が3つ並んでいる、というのが正確な理解です。
3つの系譜
- 彩条屋系アニメ:『ナタ 魔童降臨』(2019)/『姜子牙』(2020)/『ナタ 魔童の大暴れ』(2025)
- 実写 封神三部曲:『封神第一部』(2023)/『封神第二部』(2025)/封神第三部(制作中)
- 追光動画 新神榜シリーズ:『ナタ転生』(2021)/『ヨウゼン』(2022)
見る順番ランキングBEST10
①ナタ 魔童降臨(哪吒之魔童降世/2019年)
シリーズの入口として最もおすすめの1本。単独で完結しており前提知識は不要です。2019年に中国で公開され、当時の中国映画年間興行収入1位・約50億元(約780億円)を記録した記念碑的作品です。
②ナタ 魔童の大暴れ(哪吒之魔童闹海/2025年)
①の直接の続編。日本では2025年4月4日に字幕版、同年12月26日に吹替版が公開されました。世界興行収入でアニメ映画歴代1位となり、『タイタニック』や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』も上回る記録的大ヒットとなっています。
③姜子牙(2020年)
彩条屋系アニメの2作目。主人公は太公望としても知られる仙人・姜子牙で、①②とは直接のストーリーのつながりはなく単独で楽しめます。日本では劇場公開されておらず、配信での視聴が中心です。
④封神・妖姫とキングダムの動乱(封神第一部:朝歌风云/2023年)
実写三部作の第1弾。原作によりストレートに近い、重厚な史劇として作られています。中国での興行収入は約26.36億元(約550億円)。日本公開は2025年2月28日です。
⑤封神・激闘!燃える西岐攻防戦(封神第二部:战火西岐/2025年)
④の直接の続編で、姫発たちが西岐を守る攻防戦を描きます。中国では2025年1月29日公開で、奇しくも②『ナタ2』と同じ春節に激突しました。日本公開は同年3月7日です。
⑥封神第三部(タイトル未定)
三部作の完結編。2026年9月時点では正式な公開日は発表されていません。続報を待ちましょう。

⑦ナタ転生(新神榜:哪吒重生/2021年)
追光動画による独自解釈版。3000年後の近未来都市を舞台にしたサイバーパンク調のナタで、彩条屋版とはビジュアルも設定も一新されています。日本公開は2021年2月26日でした。
⑧ヨウゼン(新神榜:杨戬/2022年)
⑦のラストシーンで初登場した楊戩を主人公にした続編で、追光動画版の世界観を引き継ぎます。日本では2023年に初公開され、2025年3月21日には日本語吹替版が改めて公開されました。
⑨封神伝奇 バトル・オブ・ゴッド(2016年)
ジェット・リー、ファン・ビンビン出演の旧世代の実写版。乌尔善監督の三部作とはまったくの別作品なので、タイトルが似ている点に注意が必要です。日本公開は2017年5月27日でした。
⑩ナーザの大暴れ(哪吒闹海/1979年)
すべての原点となる、上海美術電影制片廠制作の伝説的な水墨アニメです。②『ナタ 魔童の大暴れ』の饺子監督自身が「創作の原点は1979年版」と公言しており、時間があればぜひ押さえておきたい1本です。日本では1980年に公開されました。
まとめ:どこから見ればいい?
とにかく話題作から気軽に楽しみたいなら①→②の彩条屋系、原作の重厚な世界観をじっくり味わいたいなら④→⑤の実写三部作、まだ見たことのないビジュアル表現を求めるなら⑦→⑧の追光動画版がおすすめです。3つの系譜は互いに独立して楽しめるので、気になったシリーズから気軽に入ってみてください。なお、封神・哪吒関連作品全体を指して「中国神話版MCU」と評されることもありますが、実際にはマーベルのような統一設定ではなく緩やかな「同じ神話の別解釈群」である点だけ押さえておくと、視聴時の混乱を避けられます。